甲状腺とは、からだ全体の新陳代謝を促進するホルモンを出すところです(図1)。
甲状腺ホルモンは、血液検査で測ることができ、バランスは、脳下垂体から出る甲状腺刺激ホルモン(TSH)で調整されています。
甲状腺の病気には、「機能亢進症」「機能低下症」などと、「甲状腺腫」があります。
甲状腺腫には、良性の腫瘍や嚢胞のほか、がんも含まれます。
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症とは、甲状腺ホルモンが出過ぎる病気です。症状は、甲状腺腫、頻脈、手指振戦、多汗、たくさん食べるのにやせる、イライラ、疲れやすい、などです。
その原因は、自己免疫現象によるものがほとんどで、「バセドウ病」と呼ばれます。
甲状腺の炎症に伴って、ホルモンが血液の中へ一度に流れ出して機能亢進を起こすこともあります。
甲状腺機能亢進を放っておくと、不整脈が起こりやすくなり、心不全となって寿命が縮みます。骨粗鬆症なども起こりやすくなります。
治療には(1)飲み薬を飲む方法と(2)外科で腫れた甲状腺を切って小さくする方法。また、(3)放射性ヨードのカプセルを飲んで、中から甲状腺を焼いて働きを抑える三つの方法があり、それぞれに長所と短所があります。
甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンが不足し、新陳代謝が衰える病気です。
主な症状は、元気がなくなり寒がりになる、むくみ、便秘、白髪が増える、脱毛、しわがれ声、疲れやすいなどです。
むくみがひどくなると心臓の周りに水が溜まることがあり、心機能が低下します。また、コレステロールが増えて動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞といった病気が起こりやすくなります。
不足している甲状腺のホルモン剤を飲んで治療をします。
甲状腺の病気は意外に多く、男性では50〜100人、女性では30〜60人に1人の割合です。
頻度が高いわりに、見逃されたり、放置されていることが多い病気です。気になる点がある方は、ぜひ病院を受診してみましょう。 |